2回めの妊娠(3)
10週で稽留流産が判明したときの話です。
10週0日。出血
9週を迎えたあたりから、夜になるとムラはあるものの吐き気が起こるようになりました。
「これがつわりなら、心拍確認も出来たしもう赤ちゃんは大丈夫だろう」そう思って過ごしました。
でも、もしかすると赤ちゃんはこのまま無事に成長しても、(わたしの血流が悪いなどの問題で)スタートダッシュが遅かったせいで先天性の病気などを持って生まれてくるかもしれない。
そうなるとNICUのある病院に転院すべきだし、出生前診断を受けて備えておいたほうが良いのではと考えて、夫ときちんと話し合う時間を設けて夫婦の意見を合わせました。
わたしが出生前診断のできる病院を調べているのを見て、周囲は「赤ちゃんを信じて。ストレスは良くないよ」と励ましてくれましたが、信じる気持ちも大事だけれど起こりうるリスクの対策をしておくのはまた別なんじゃないかなあと思います。
どちらも赤ちゃんのためだし!!
ただ、ストレスがかからないようにしつつ心配して備えるって、なかなか感情コントロールが難しいですね笑。
そんなこんなで「次回で母子手帳についてお話しますね」と言われていた診察まであと3日となった、10週0日の夜。金曜の夜でした。前回も金曜の夜だったような。鬼門だわ。
22時頃、トイレに行くと粘度のある赤い血が下着についていて、出血していました。
腹痛はありませんでしたが、前回の流産がすぐ頭をよぎりました。
その前に夫とメールをやりとりしていて、夫の「もうちょっと残業がんばるね」に「がんばって〜」なんて和やかに会話していましたが、「血が出た」と夫にメールすると、夫から「今すぐ帰るよ、とりあえず病院に電話して」と連絡が来ました。
病院に電話をすると「ひどい腹痛が起こったら夜中でも来てください、腹痛がないなら明日の朝一番に来てください」とのことでした。
前回はすぐに大出血と腹痛があったので心配していましたが、この夜はそのかすかな出血だけで終わったようで、ちゃんと眠ることができました。
10週1日。心拍停止の確認
そして朝一番に夫の付き添いで病院へ行き、祈るような気持ちで内診台に上がりました。長い時間をかけたエコー。
「ああ、心拍停止しちゃってますね」とお医者さんの残念そうな声。
エコーの画面には胎嚢の隅っこに横たわったような赤ちゃんが映っていました。
今までのエコーもそんな動きがあるようには見えませんでしたが、なんとなく「生命として動いていない」ということはわかりました。
でもそのときは悲しいとかショックという気持ちより、「あー2回めか、やっぱり不育症検査に行かなきゃ。大学病院の紹介状もらわなきゃなあ」とか、今からやるべきことにすぐ頭が切り替わりました。
掻爬手術の申し込み
お医者さんからは、
「大きさから言うと1週間前に心拍が停止していたかもしれない。手術をせず自然排出を待つと、週数的にもかなり出血すると思う。貧血になるかもしれないし、うまく全部出しきれないで結局手術になることも多いので、全身麻酔での掻爬(そうは)手術をおすすめする」
というお話があり、その場に夫もいたので夫も同意してすぐに手術を予約しました。
掻爬手術は子宮に器具を入れて内容物を出すもので、子宮が傷つくのではないかという心配もありましたが、お医者さんいわく「事故は滅多にない(開業60年以上のこの病院でも1度もない)」ということ、前回の5週での自然排出もかなり痛みと出血がつらかったので、現在はその2倍近くの内容物と考えると手術は仕方ないかなと思いました。
▼これの2倍と考えると……
夫はわたしの体のケアや手術前に出血したらどうしたらいいか、手術後の生活について気をつけることなどをお医者さんに質問していました。
そして術前検査の採血(HIVや肝炎の検査)をして、手術は4日後になりました。
最後にもらったエコー写真には、赤ちゃんの大きさ(19mm)から「8w6d(8週6日)」と表示されていましたが、成長は最初から1週間ぶん遅かったからやっぱり出血した日(10週0日)前後に心拍が止まってしまったんじゃないかな、とわたしは思っています。
モヤモヤが晴れて
診察が終わると、受付で術前の注意事項のプリントをもらいました。
前日の夜は飲食禁止とか、コンタクトやネイルはしないとか、普通の注意です。
手術代金は、以前支払っておいた分娩の予約金からそのまま出せるらしい……(ああ切ない……笑)。
病院を後にしても不思議と涙が出たり悲しい気持ちにはならなくて、むしろ「不育症かもしれない」と悩んでいたのが「よっし、これで門前払いをくらっていた不育外来に堂々と行って検査が出来るわい!」と、モヤモヤしていたものに行動の指針が出来たような、気合が入ってむしろ晴れ晴れとした気分でした。
わたしはふだん夫が1泊の出張に行くだけで寂しがるタイプだし、前回心拍確認をした際は病院で泣いたこともあり、夫はわたしが赤ちゃんの心拍停止を告げられてショックを受けると思って心配していたみたいです。
「つまちゃん、とてもしっかりしていたね。ぼくはあなたを改めて尊敬したよ」
と、ほめてくれました。ホッホッホッ。
もちろん子どもも楽しみだったけど、わたしは夫と二人でやりたいことや楽しみなことも人生にまだまだ無限にたくさんあります。だから大丈夫!
そして妊娠中には、産科や新生児医療のことなど自分が今まで興味を払ってこなかった分野について多くを知り得ることができました。
もちろん成長の遅さや流産のことが不安だから調べたことで、残念な結果には終わりましたが、今後を考えると前回に引き続き母子ともに実りのある時間でしたし、これから始まる不育症検査に対しても推理小説の「解決編が読める」みたいなワクワク感が。
不育症なのかただの偶然が続いたのか、まずはそれをハッキリさせてみたい!
そうと決まればいそがしいのよ
夫は夫で、
「心拍確認が出来たときは今度こそ絶対大丈夫と思ったけど、わからないものだね。正直びっくりしたよ。でも前のときも言ったけど、ぼくにとって一番大事なのはつまちゃんだから。2人はチームだよ!」
と、わたしを支える方向にすぐ頭をシフトしたみたいで(そういえばお医者さんにもわたしのケアのことばかり質問していた)大丈夫そうでした。
ということでまずは「刺盛りが名物の居酒屋に行くか……!」と、二人で美味しいものをいっぱい食べて体力をつけ、手術に備えることにしました。
お刺身をずっと我慢していたので、たっぷりお刺身を食べました。美味しかった〜。
前回も思ったのですが、やっぱり食欲と体力は大事です!
反復流産の確率は2%ならば
しかし流産はよくあることと思っていたけれど、2回連続の反復流産の確率は2%(200人に1人)ほど。
いろいろ心配はしていたけれど、それでもまさか自分が……という思いがあったのも確かです。
それなら「いま宝くじ買ったら当たるんじゃないか、2%を引いたし」とよこしまな気持ちがよぎり、宝くじをバラで10枚買ってみました。
全部外れました。
300円も当たらんかった……
つづく。
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