3回めの妊娠(3)不育症での妊娠と出生前診断

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▼前回

不育症と出生前診断

つわりのなか「生きてておくれ〜がんばっておくれ〜」とお腹に呼びかける日々。

7週6日の検診にて、エコーで頭でっかちの2頭身の赤ちゃんを見ることができました。

前回の妊娠ではここまで人間っぽくなってきた姿は見られなかったので、とても嬉しかったです。

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予定日はまだ確定ではないし、母子手帳ももらいに行くようには言われませんでしたが、とりあえず「順調」!

それならばそろそろ時期が来た、と今回妊娠してからすでに受けることを夫婦で決めていた「出生前診断」の検査の申し込みをすることにしました。

なぜ検査を受けるか

出生前診断とは、平たく言うとお腹のなかの胎児の先天的な異常(染色体異常や遺伝性疾患の有無、形態異常)を調べるための検査です。検査によっては母体の胎盤や子宮の血流などの状態も詳しく見ることができます。

 

出生前診断というと「病気や障害のある子を育てられるか」みたいなほうに論点が行きがちですが、わたしは2回の流産を経験して自分が不育症とわかって、どちらかというと生まれたあとのことより「流産・死産のリスクや母体に問題があるなら早めに知りたい」気持ちが強くなりました。

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正直言って、この1年は寝込んでいる時間も長かったし心も体もせわしなかったです。

妊娠期間が進めば進むほど、ダメになったときのショック(夫や周囲も含め)や肉体的負担、ダウンタイムも大きくなります。それは2回めのときの手術でよくわかりました。

ましてやわたしにはそもそも胎児が正常に育ちにくい不育症因子というハンデがあるわけで。

もし3回めの妊娠も流産や死産のリスクが高くなる胎児の染色体異常や、母体の血液凝固異常のリスクのせいで胎盤やへその緒に問題があるなら、妊娠期間や心身の負担が軽いうちに妊娠を継続するか、そもそも継続出来るのかを判断したいと思いました。

 

もちろん妊娠には予想外のことがつきもので、みんなその恐怖を乗り越えて母親になりますが、リスクがすでにべべんと提示されているハイリスク妊婦ならではの恐怖心や流産歴による妊娠継続への自信のなさがあります。

しかも赤ちゃんの出生と引き換えに何かあるならまだいいものの、繰り返す流産や死産で母体に障害や命に関わることが起きたら? 

 

これは個人の死生観なので夫がどう考えているかはわかりませんが、わたしにとっては宿った赤ちゃんは初代も2代目も3代目も、みんな「同じ人」です。

リスクだらけのわたしのお腹に何回もチャレンジしてくれているので、わたしもそれを応援したい。そのためにはわたしの心身の負担を少しでも軽くして、10回でも100回でもチャレンジできる打たれ強い母体にしておかねばならない! 

そして現段階で治療できる異常があるなら、母として早めに治療したり準備をして子どもを応援したい!

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お腹に宿った子との縁を否定したい人間はいませんし、検査して異常がないならそれで「今度こそきっと大丈夫かも」と少しでも自信を持ちたいです。

 

賛否両論ありますが、出生前診断は不育症のわたしにとっては自分の限りある人生と夫婦の人生と、これから生まれるかもしれない子どもの人生のための安心材料です。

 

ただ、同じ不育症の人でも、「リスクだらけのなかで宿ってくれた命だからこそ、起こることを全て受け入れよう」と検査を選ばない考え方の夫婦などもいらっしゃると思います。

出生前診断を選ぶ背景、選ばない背景、それぞれにそこに至るまでの千差万別の理由と葛藤があります。

出生前診断は「生命の選別」「尊厳」「人権」などの言葉で単純に論ずるべきテーマではないと思っています。

 

どの出生前診断を受けるか、メリットとデメリット

さて、夫とは2回めの妊娠のときに、どのような検査があるのか、どの検査を受けるか調べて話し合ってありました。

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検査方法は母体の血液を採取して成分を調べたり、超音波検査で胎児のむくみなどを観察したり、羊水や絨毛の組織を取って検査する方法などさまざま。

また、検査を受けられる週数や検査費用、そして確定的検査(異常があるかなしかの2択)か非確定的検査(異常の確率が◯%、などと出る)かという違いもあります。

 

主な検査をざっくり比較するとこんなかんじ↓。 

※メリットデメリットはわたしと夫が感じたことで、個人の感想です。都内の各病院のHPや検査を受けたクリニックからもらった資料等を参考にしました。

新型出生前診断(NIPT)

10週から実施。検査費用は15〜20万円ほど。

検査結果は1〜2週間後。

メリット:

・母体の血液を採取するだけで胎児リスクなし

・ダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトー症候群(13 トリソミー)が99.9%判定できる

・病院によっては異常があった場合の確定診断(羊水検査)もセットの金額設定になっていることがある

・認可施設で受ける場合は遺伝カウンセリングなどがある

デメリット:

・あくまで「確率」がわかるのみの非確定検査である。

・形態異常はわからない

・35歳以下は無認可施設で受けるしかない。しかし美容外科みたいなところがやっていたり、施設が有象無象すぎる……

・検体を海外に郵送中に紛失など事故の例がある

 

胎児初期精密超音波検査と初期母体血清マーカー(胎児ドック)

11〜13週に実施(採血は9週から可能)。

検査費用は4〜9万円ほど。

母体の採血と胎児の精密超音波検査の組み合わせで異常を調べる。OSCAR検査、FTS(first trimester screening)、マターナルスクリーンとも呼ぶらしい。

採血の結果は2日後、超音波検査は即日。

 

メリット:

・詳細な超音波検査で胎児の発育や心臓や脊椎の発達やむくみ(NT)の有無、胎盤、へその緒の異常の有無を調べる検査ができる

※形態異常の検出は中期超音波検査の1/3程度

・母体の血液を採取するだけで胎児リスクなし

・2つの検査での所見を合わせることで21トリソミー、18トリソミー、13 トリソミーが80〜96%判定できる

・海外ではこちらの検査が主に使われている

デメリット:

・あくまで「確率」がわかるのみの非確定検査である

・海外の専門施設で研修を受けた専門医でないと診断できないので実施している施設が少ない

・検査精度は各病院の検査項目や術者によるものが大きそう

 

中期母体血清マーカー(クアトロテストなど)

15〜17週に実施。検査費用は3万円ほど。

検査結果は7〜10日後。

メリット:

・母体の血液を採取するだけで胎児リスクなし

・21トリソミー、18トリソミー、開放性神経管奇形を75%程度検出

デメリット:

・受けられるのが中期以降なので確定診断に進む場合を考えると時間が少ない

・他の検査と比べると検査精度に乏しく、現在海外ではほとんど使われていないらしい

・あくまで「確率」がわかるのみの非確定検査である

 

絨毛検査

11〜13週で実施。検査費用は10〜18万円ほど。

主な染色体の検査結果は3〜4日後、全染色体は2〜3週間後。

メリット:

・染色体の本数異常はほぼ確実にわかる

・確定検査

デメリット:

・お腹に針を刺して検体を採取するので胎児リスク(流産・死産)あり

 

羊水検査 

16〜18週で実施。検査費用は10〜18万円ほど。

主な染色体の検査結果は3〜4日後、全染色体は2〜3週間後。

メリット:

・染色体の本数異常はほぼ確実にわかる

・確定検査

デメリット:

・お腹に針を刺して検体を採取するので胎児リスクあり

 

2回めの妊娠のときに出生前診断を検討した際、夫は「確定診断でないなら、他の検査に意味があるとは思えない。それなら羊水検査などの確定診断を1回受けるほうがよいのでは?」という意見でした。

そして「もしお腹の子どもに99.9%病気がある可能性があると言われても、ぼくは0.1%がある限りはあきらめられないと思うから」とのこと。

ということで、2回めの妊娠時はわたしたちの論点もどちらかというと赤ちゃんのスタートダッシュの成長が不安だったことから「子どもの先天的異常の可能性」についてだったので、わたしもそれに同意して妊娠が継続すれば羊水検査のみ受けるつもりでした。病院で羊水検査について聞こうと思っていた検診の前々日にダメになっちゃいましたが。

 

しかし3回めの今回はわたしが「自分の体の負担や母体の不育症リスクを考えると早めの段階で検査を受けたい」という考えになった話をしたところ、夫もそれに大きくうなづいてくれて、羊水検査などよりも早く受けられる検査を選ぶことにしました。

 

FMC東京クリニックに申し込み

最終的にわたしたちは九段下のFMC東京クリニックでFMFコンバインドプラスという検査を受けることにしました。

 

こちらは上記につらつら挙げた出生前診断のひとつ、

・胎児初期精密超音波検査(初期胎児ドック)
・初期母体血清マーカー

を組み合わせた検査です。

 

染色体異常の検査精度は80〜96%(FMCのデータでは93〜96%)ということで確定検査ではありませんが、

・妊娠初期のうち(11週)に受けられること

・染色体異常が高い検査精度でわかること

・超音波検査で胎児の発育と胎盤や血流の状態をチェックできること

・結果が出るのが早いので次の段階に進む場合、早く動けること

から選びました。

 

検査精度から言うとNIPTや絨毛検査と迷いましたが、わたしが通っている大学病院は4Dエコーや精密超音波検査が初期もその後もないみたいなので(むくみについても検診のときに時間をかけることもなく「なさそうですね〜」で終わりなので)、血液検査の結果だけで判断するよりは、エコーで映る赤ちゃんの姿を見ながらお医者さんに質問したり、相談をしてみたい。

また、わたしの不育症リスクのひとつである「血液凝固異常」は胎盤に血栓が出来やすく、血流も悪くなりやすいことから流産や胎児死亡の危険が高くなるので、初期のうちにしっかり胎盤や赤ちゃんの血流の状態もチェックしておきたいと思いました。

これだけではなくもうひとつのリスク、甲状腺ホルモンの不安定さも胎児の発育に影響がありますしね。ほんとリスクだらけだー。

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クリニックのホームページのメールフォームから予約すると、折り返しの電話がかかってきて検査のスケジュールを決めます。

診断を受ける前に遺伝カウンセリングを受けて勉強しなければいけないことと、採血の結果が出るのに2〜3日かかるので2回通院する必要があります。

候補の日時をいくつか挙げていただいて、その中から選べました。

 

わたしたちは

・1日め:遺伝カウンセリング(グループカウンセリング)と採血

・2日め:初期胎児ドックと採血結果とあわせた総合結果説明

という組み合わせにしました。

 

検査や説明は平日のみだったので、カウンセリングと採血はわたしだけで、超音波検査と結果説明は午後休を取る夫と2人で行くことにしました。

カウンセリングは個別かグループか選べましたが、グループで。

クリニックからの電話では、予約メールフォームに書いていたちょっとした不安に対する遺伝カウンセラーの方のお答えがあったりして、「カウンセリング当日に質問しようとしていたことがなくなってしまった……」となりましたが笑、これにて予約が完了!

「予定日が確定したらまた連絡をください」とのことで、病院で予定日が確定した9週のときにまたクリニックに連絡をしておきました。

 

▼検査へとつづく。
▼能天気なおめでた日記はメインの絵日記ブログにて